Autodesk Mayaは、業界標準ツールとしてユーザー数が多いです。
そのため、たくさんの便利なツール(スクリプト、プラグイン)があります。
その便利なツール(スクリプト、プラグイン)をこの記事では紹介します。この記事で紹介したツールは過去に個別の記事で詳しく解説してあるものなので、気になったものは個別の記事へ飛んで詳細を読んでみてください。
私が3DCGアニメーターという立場上、どうしてもアニメーション関するもの(それに関連したリギングのもの)に偏ってしまったことはご了承ください。
Maya総合ツール(スクリプト、プラグイン)
モデリング、アニメーション、リギング等といったジャンルのものをひとつのパッケージにしてあるツールをMaya総合ツールとしてここで扱います。
【有料】Zoo Tools Pro
大抵のツールやプラグインといったものは、モデリング、アニメーション、リギングといったそれぞれの分野に分類することが出来ます。しかし、いろいろな分野のツールがセットになっていて総合的にMayaの使い勝手を良くしてくれるツールがあります。
その筆頭格が「Zoo tools Pro」です。
「Zoo tools Pro」は有料のサブスクのツールです。
初回の支払いが「40$ + 10$(初月サブスク代)」で、以降「1ヶ月10$」の支払いが発生します。ただし、初回の支払いをしてしまえばダウンロードしたものはずっと使い続けられます(アップデートは適用されないので、アップロードしたくなったら10$支払いましょう)。
良心的なので興味があれば一度試してみましょう。
「Zoo tools Pro」は、様々なツール群とアセットから成り立っています。
とにかく沢山のツール群から構成されているのですべてに目を通すだけでも大変です。
「Zoo tools Pro」全般について知りたい場合はこちらを御覧ください。

JOINT TOOL と JOINTS ON CURVE
「Zoo tools Pro」の「Hive」ではないマニュアルのリギング用のツールです。
「JOINT TOOL」はjointの設定をいじることができるツールです。joint orientを整えるツールです。また、jointを引くためのツール(とても便利です)があります(例として、腕にジョイントを引きたい場合に、輪切りにしたメッシュの中央にLocatorを配置してそこにjointを引くことができます)。
「JOINTS ON CURVE」はカーブに沿ってjointを配置するツールです。カーブに配置するjointの数を簡単に変更できるのでとても使い勝手の良いツールです。
「JOINT TOOL」と「JOINTS ON CURVE」の使い方については以下の記事を御覧ください。

NCloth Wrinkle Creator
「NCloth Wrinkle Creator」は、簡単な設定でキャラクターの動きにともなうシワをつけることが出来ます。
衣服のシワをつくる「NCloth Wrinkle Creator」の使い方については以下の記事を御覧ください。

Mayaアニメーション用ツール(スクリプト、プラグイン)
Mayaでアニメーションを作る上で便利なツール(スクリプト、プラグイン)をこちらで紹介します。
【有料】animBot
Mayaのアニメーション用のツール(スクリプト、プラグイン)といえば、まず真っ先に思い浮かぶのがこの「animBot」です。
「animBot」は、アニメーションに関しての数多くのツール(スクリプト、プラグイン)群にです。よって、アニメーションに関してのツール(スクリプト、プラグイン)に関しては、「これ(animBot)さえあればOK」と言えます(実際は他にも使いたいものはありますが…)。
「animBot」はサブスクリプションの有料のツールです。
サブスクということでお値段が気になると思うので、表にまとめました。
基本的には「1年60$のEcoバージョン」で構いません。
Ecoバージョン | Proバージョン | |
---|---|---|
価格 | ||
機能 | 一部使えない機能あり (Temp Controls) | すべての機能が使える |
アップデート | 整数のメジャーアップデートのみ | 小数点以下のアップデートも対応 |
サポート | 最新のMayaへの対応が遅い | 最新のMayaへの対応が早い |
ただし、「1年144$のProバージョン」でないと一部使えない機能があります。
そのProバージョン限定のツールが「Temp Controls」です。
「Temp Controls」については、別途記事を書きました。

この機能を使いたいかどうかで、「ecoバージョン」か「proバージョン」かを選んでください。
私からのアドバイスとして、最初は「ecoバージョン」を使って、「animBot」になれることをおすすめします。「animBot」には非常にたくさんのツールがあるために、全体像を把握するだけでも大変だからです。
ある程度「animBot」に慣れた段階で、「Temp Controls」を使いたくなったら、「Proバージョン」へ切り替えるのが良いでしょう。

【無料】Aaron Koressel のMELスクリプト
「Aaron Koressel のMELスクリプト」は、上で紹介した「animBot」の縮小版のようなツール(スクリプト、プラグイン)群です。こちらは、ありがたいことに無料で使えます。
「animBot」を使う前に、まずはこの「Aaron Koressel のMELスクリプト」で、アニメーションにおけるツールの使い方を学びましょう(「animBot」にも同じ機能が含まれています)。逆の言い方をすると、すでに「animBot」を使っている人は、「Aaron Koressel のMELスクリプト」を使う必要はありません。

「Aaron Koressel のMELスクリプト」と「レイヤードアプローチ」
3DCGアニメーションを作る技法に「レイヤードアプローチ」というものがあります。
この「レイヤードアプローチ」をするために必須な3つのスクリプトがこの「Aaron Koressel のMELスクリプト」に含まれています。
以前、私がレイヤードアプローチの大家Michal Makarewicz(マイカル・マカレヴィッチ)さんによるCG WORLDのアニメーションマスタークラスで教わったことです。
レイヤードアプローチに必要な3つのスクリプト | |
---|---|
ackNegateKeys | スプラインカーブを反転させる。 |
ackPushPull | スプラインカーブを上下の幅を広げたり狭めたりする。 |
ackSpreadSqueezeTiming | スプラインカーブの左右の幅を広げたり狭めたりする。 |
これらのスクリプトを使って、マスタースプラインを活用するのがレイヤードアプローチです。
詳しくは以下の記事を御覧ください。

CG WORLDのアニメーションマスタークラスについては以下の記事を御覧ください。

【無料】Studio Library
「Studio Library」 は、Mayaで作ったポーズやアニメーションを保存して、呼び出すことが出来るツール(スクリプト、プラグイン)です。
一度作ったポーズやアニメーションを再利用することによって、アニメーション作成の生産性が爆上がりします。また、ゲームモーションの場合は待機モーション(アイドル)のポーズに合わせる(繋げる)ことが多々あるので重宝します。
本来ならばMayaの標準機能として搭載されて欲しいところです。が、一向に標準機能として搭載される気配がありません。この機能二関してはもう完全に「Studio Library」 おまかせしてしまったのではないでしょうか。そのくらい素晴らしいツール(スクリプト、プラグイン)です。

【無料】LMSpring
「LMSpring」は、いわゆる「揺れモノのアニメーションをつける」ためのツール(スクリプト、プラグイン)です。
MayaのSoftBodyという機能を使って「揺れモノのアニメーション」をつけます。
設定するパラメーターが少なく、簡単に使うことが出来ます。
下で紹介する「Overlapper」と違って無料で使用することができます。

【無料】LMlocator
「LMlocator」は、簡単に言うと「Locatorを置くツール」です。
「はっ?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的にそれだけのツールです。
アニメーションをつけているとLocatorを沢山置きたくなる場合があります。そんなときに「シェルフにあるアイコンをクリックするだけで任意の場所にLocatorが置ける」のは非常に時短になります。
しかも、「シェルフにあるアイコンをダブルクリック」すると、「ワールドスペースのLocatorにアニメーションをベイクした状態で持ってくる」ことが出来ます。これがまた非常に時短になります。
そんな「非常に地味な時短ツール」。それが「LMlocator」です。

【有料】Overlap Helper
Mayaの揺れモノツール(スクリプト)としては、この「Overlap Helper」を忘れてはいけません。
19$という有料のツールですが、Physicsを使用したOverlapと、使用しないOverlapの両方を作成することが出来ます。
そして、この「Overlap Helper」の最大の特徴は、スキニングされたメッシュ(のVertex)を揺らすことが出来ます。
このような機能を持ったツール(スクリプト)は、あまりないので要チェックです。

【有料】reParent(Pro Version)
「reParent(Pro Version)」は、基本的には上の動画のように親子関係をあれこれとLocator配置したりベイクしたりを繰り返しながらアニメーションをつけなければならないのを効率的に出来るようにするツールです。
このような親子関係云々は無料の「reParent(Light Version)」でもできます。
しかし、20$の「reParent(Pro Version)」では、他にも様々な機能が追加されています。
ちなみに、次に紹介する「Overlapper」と同じDmitrii Kolpakovさんのツールです。
Aimモード
IKモード
IKの機能を見ると、「reIKツール」と言っても良いくらいです。
Spline IKモード
20$の「reParent(Pro Version)」では、このように様々な機能が追加されています。有料版にする価値はあります。
おすすめです。

【有料】Overlapper
Mayaで揺れものアニメーションをつけるツールとして最も有名なのが、おそらくこの「Overlapper」です。
上で紹介した「reParent(Pro Version)」と同じDmitrii Kolpakovさんのツールです。
この「Overlapper」は、ボタン一つで簡単にオーバラップアクションをつけることができます。
上で紹介した「LMSpring」との違いは、主に3つです。
「Overlapper」は20$です。
「Overlapper」は、ダイナミクスを使っていないので、動作が安定しています。
また、ダイナミクスを使っていないためにサイクルアニメーションを作ることが出来ます。
オーバーラップアクションをつけることが出来るツールはとても有用なので、この「Overlapper」と「LMSpring」は要チェックです。
「Overlapper」は有料ですが、お金を払う価値はあります。

【有料】WALKING BEND tool
「WALKING BEND tool」は、ウォークサイクルアニメーションをモーションパスに沿ってアニメーションさせるツールです。
このツールの驚異的なところは、足をすべらせることなくパスアニメーションを作成できることです。
さらに、驚くことに、四足歩行や、八本足の蜘蛛のアニメーションでも足をすべらせることなくちゃんと機能することです。
一つだけ残念な点があるとすれば、60$という価格です。
しかし、その価格以上の価値を見いだせるならば導入してみてはいかがでしょうか。
このツールの作者のPavel Barnevさんは、他にも有益そうなツールをいくつも公開されています。
興味のある方は他のツールもチェックしてみてください。

【有料】NCloth Wrinkle Creator(Zoo Tools Pro)
「NCloth Wrinkle Creator」は、Mayaの総合ツールセットの「Zoo tools Pro」のなかのツールです。
MayaのnClothを使って、衣服にシワをつけるツールです。
上の動画を見て分かる通り、良い感じにシワができます。
衣服の素材のプリセットがいくつも用意されており、そこから、設定を煮詰めて調整していきます。

Mayaリギング用ツール(スクリプト、プラグイン)
Mayaでリギングをする上で便利なツール(スクリプト、プラグイン)をこちらで紹介します。
【無料】LMrigger
「LMrigger」は、「FKのコントローラーを簡単に作ることができるツール」です。作ったFKのコントローラーにはちゃんとempty group(null、空グループ)を挟んでオフセットしてあります。また、コントローラー作成時に使ったコンストレインノードは別グループに分けてまとめてくれます。
Mayaには標準でリグのコントローラーを作る機能がありません。
自分でリグのコントローラーを作る場合は多少面倒な手順を踏む必要があります。
Mayaでのコントローラーの作り方については以下の記事を御覧ください。

また、「jointorientを揃えるツール」としても優秀です。

以前「cometjointorient」というツールを紹介したのですが、このツールはmaya6.01の頃に作られて非常に古いMELスクリプトで、ウェブサイトも更新されておらず、使い続けるには不安があります。
しかし、この「LMrigger」は、機能的にも「cometjointorient」より優れている完全上位互換です。今まで「cometjointorient」を使っていた人もこの機会に「LMrigger」に切り替えましょう。
ちなみに、この「LMrigger」は、アニメーションのツールのところで紹介した「LMlocator」と「LMSpring」と同じLuismi Herreraさんのツールです。

【有料】CNTRLS & JOINTS TOOLSET(Zoo Tools Pro)
こちらは「Zoo tools Pro」の中のツールです。
リギングをする際のコントローラーやjointに関するツールです(「Hive」という独自のリギングシステム以外のものです)。
さすがに有料のツールだけあって機能が充実しています。
JOINT TOOL と JOINTS ON CURVE
「JOINT TOOL 」は、簡単に説明すると、上で紹介した「LMrigger」の上位互換のツールです。有料ツールなだけあって優秀です。
「cometjointorient」の上位互換が「LMrigger」で、さらにその上位互換が「JOINT TOOL 」といった関係です。
「cometjointorient」 < 「LMrigger」<「JOINT TOOL 」
「Zoo tools Pro」が使える人は「JOINT TOOL 」を使いましょう。
「JOINTS ON CURVE」は、カーブに沿ってjointを引くツールです。jointの数を簡単に増減させられるのでとても使い勝手が良いツールです。

【無料】Inopoa Attribute Connector
恥ずかしながら私が作ったアトリビュートを接続するためのスクリプトが、この「Inopoa Attribute Connector」です。
主に、「スキニング用のjoint」と「リグ用のjoint」を接続するためのものです。
「なんでそんなものが必要なのか?」と思ったかたは以下の記事を御覧ください。

実は、上で紹介した「Zoo tools Pro」にも「ATTRIBUTE CONNECTIONS」というアトリビュートを接続するツールがあります。
「これは、まずい。強力なライバル登場か?」と一瞬心配しました。
しかし、「ATTRIBUTE CONNECTIONS」は「1対多」の接続をするツールで、一方私の「Inopoa Attribute Connector」は「1対1」の接続をするツールなので競合しないことがわかり一安心です(笑)。

まとめ
これからもMayaの便利なツール(スクリプト、プラグイン)を紹介した場合は、今後もこの記事に追加して行きます。
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