『Unreal Engine 5で極めるゲーム開発』ブックレビュー

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Unreal Engine本の決定版として名高い前著『Unreal Engine 4で極めるゲーム開発』の待望の大幅リニューアル版(なんと9割以上を書き直して再構成したという)が、この『Unreal Engine 5で極めるゲーム開発』です。

私は前著でUnreal Engine4を学びました(一番最初に使用した教材だったので思い入れがあります)。今回はこの待望のリニューアル版がどうなったのか見てみましょう。

目次

Unreal Engine本の新たな決定版

ご覧のように前著よりも厚さも大きさもパワーアップして『Unreal Engine 5で極めるゲーム開発』として帰ってきました。

この本は「ペーパーニンジャ」というゲームを作りながらUnreal Engine 5の使い方を学びます。

この点は前著と同じですが、座学の内容が非常に充実しています。

そこで、ゲームの作り方の具体的な手順や、3DCGにおける数学や物理、そしてUnreal Engineそのものについても非常に勉強になる内容です。

実践編は、前著の時点ではなかった新機能のMegascans、Niagara、Nanaite、Lumen等も扱われています。

メリットとデメリット

メリットデメリット
まさにUnreal Engine 5の教科書といえるほど充実した内容。
ゲーム作りの教科書にもなっている。
職種によってどこを重点的に学べばよいかがわかるようになってい。
座学の内容が充実している

あくまでゲーム開発の教科書なので、映像が作りたいだけの人はすべてを学ぶ必要はない。
ものすごいボリュームがあり、地味な作業が多い(ゲーム開発とはそういうものですが…)のでモチベーションが低い人は挫折してしまう可能性がある。
職種によって重点的に学べばよい箇所だけやろうとすると、いきなり途中から学習することになるのでやりづらい。
発売からあまりにも時間が経ちすぎると価値が大幅に下がる。

メリット

教科書とはいえ、Meta Human等の一部扱われていないものも当然あります。しかし、Unreal Engine 5についてこれほど広範囲に扱ったものは、(日本語においては)他には思い浮かびません。

また、Unreal Engine 5の教科書であるだけにとどまらず、ゲーム開発の教科書の役割も果たしています。グレーボクシングといったものから始めるとか、様々な職種の人がどのようなことをしているのか等が学べます。特に、自分が関わっている職種以外の人はどんなことをやっているのかがイメージだけでなく、具体的に分かるのが良いところです。

座学は主に3DCGに関してのことです。3DCGはやはり数学と物理学の上に成り立っているということがよくわかります。3DCGアーティストの人はこのあたりの話は苦手な人は多いでしょう。私も苦手です。しかし、最低限理解しておいたほうが良いことはなるべく理解できるように努めましょう(と自分に言い聞かせている)。

デメリット

悪い点は正直に言ってないですが、「以下のように感じる人もいるかも…」といった程度のことです。

DCCツール(MayaやBlender等)で作ったものをUnreal Engine 5でステージングとライティングとレンダリングだけをやりたい人にはこの本はオーバースペックかもしれません。

しかし、座学部分が非常に充実していて、FBXからのインポートについても詳しく解説されているので手元に置いておいて損はありません。特にスケルタルメッシュのピボットに関するコラムは、なかなか他では知ることができないと思います。

人によっては教科書的なので、特に最初の方はグレーボクシングといった画面も地味な内容なため、挫折してしまう可能性があるかもしれません。ゲーム開発やUnreal Engine 5に対する学習意欲があれば大丈夫だと思うのですが…。

そのような場合は、私がUdemyで受講した「【Unreal Engine5初心者の方へ】シネマチックな映像制作コース」のような内容を最初に学ぶと良いでしょう。この講座はUnreal Engine 5でどういったことが出来るのかが分かりやすく、簡単に体験できます。まずは、このような講座でUnreal Engine 5を学ぶためのモチベーションを上げることをおすすめします。

また、Mayaで作ったアニメーションをUnreal Engineへ持っていきたい方は、こちらの記事を読んでみてください。

AlembicというGeometry Cashを使うと、Maya独自のデフォーマーでのアニメーションも問題なくUnreal Engineにもっていけます。Mayaユーザー必見の内容となっております。

職種によって重点的に効率よく学ぶことは大事なことですが、できれば本の内容を一通りやるほうが良いです。途中からチュートリアルに参加する難しさを避けるためでもありますが、ゲーム開発の流れを一通り体験することは重要です。自分以外の他の職種の人が、どんなことをやっているのかがわかるようになることによって他の職種へのリスペクトが育まれます。

「アニメーション」のように普遍的なものを学ぶ本ではないので、あまりにも時間が経ちすぎるとこの本で学ぶ価値は下がってしまいます。逆に言えば、Unreal Engineのバージョンがこの本に近い場合は今すぐに勉強を始めるべきです。

私が強くおすすめする『アニメーターズサバイバルキット』のように普遍的な本の場合は、どのくらい時間が経っても価値は下がりません。

本の宿命

コンピュータのアプリケーションは数年に1度は必ずアップデートされています。その中でも「Unreal Engine」の進化のスピードはとてつもなく速いです(数ヶ月で小数点以下が上がってゆきます)。

そのような事情でアプリケーションソフトウェアの使い方を本で学ぶということは年々厳しくなってきています。

しかしながら、前著『Unreal Engine 4で極めるゲーム開発』はUnreal Engine4の末期バージョン、いや、5が登場してからでも「Unreal Engineを学ぶならこの本」という地位を長らく築いていました(この本がでるまでの間)。

私はバージョン4の終盤近くにこの本で学んだのでインターフェイスの違いなどに苦しめられた思い出があります。メニューと格闘しながら学習を進めるのは結構なストレスです。

そういった経験から、「今すぐにでもこの本で学び始めることがベストの選択である」ということが言えます。

この本ではバージョン5.11をもとに書かれているので、とりあえずこの本が終わるまでは同じ5.11を使用して学習することを強くおすすめします。

画期的な付録の章

この本はチャプター57まであります。

ところが、58,59,60,61,62章といった今後のバージョンアップに影響を受けそうな章を続きとしてWebページに提供していただける予定になっています。

これだけのあらゆる内容をつめこんだ教科書的なものに、さらに補足でサポートしていただけるとは嬉しい限りです。

まさに「出血大サービス」です。

まとめ

Unreal Engine 5で極めるゲーム開発
総合評価
( 5 )
メリット
  • Unreal Engine 5本の決定版。まさに教科書。
  • Unreal Engine 5についてだけでなく、ゲーム作りの教科書にもなっている。
  • ゲーム作りに必要な数学や物理についても書かれている。
デメリット
  • Unreal Engineの進化のスピードが速いので、発売から時間が経ってしまうと学習しづらくなってしまう。
  • 膨大な量なのですべて学ぶには相当な時間がかかってしまう。

『Unreal Engine 5で極めるゲーム開発』は、Unreal Engine 5を学ぶにあたっては必読の本です。

題名にあるように「ゲーム開発」に関する本なので、ゲーム開発に興味がない人にとっては、たしかにオーバースペックかもしれません。

しかし、Unreal Engine 5はゲームエンジンなので当然ゲームを開発するためのものです。そして、Unreal Engine 5を使う上でフォルダ構成などの細かい部分は、どのような使い方をするにせよ1度きちんと学んでおくべきです。

そのために現状ではこの『Unreal Engine 5で極めるゲーム開発』が最適です。

つまり、本気でUnreal Engine 5を学びたいと思ったならば、まず『Unreal Engine 5で極めるゲーム開発』から始めて下さい。

もちろん、ある程度経験のある人も、Unreal Engine 5を教科書的に網羅したこの本は手元に置いておく価値が充分にあります。

最後に、Unreal Engineの進化はとてつもないスピードです。よって、できるだけ早くこの本に書いてある内容(バージョン5.11状態のもの)をマスターすることが必要です。そうすれば、その後はアップデートの内容を確認しながら学習を続けてゆくという正のサイクルに入ることができます。基本的なことが理解できたならば毎回のアップデートをわくわくしながら待てるようになっているはずです。「6.0になってからでもいいや」という考えだけは絶対にいけません。とにかくなるべく早くUnreal Engineの世界に飛び込むことが重要です。この本はそのための大きな手助けになってくれます。

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