『Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方 3rd edition』ブックレビュー

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Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方3rd edition

早いもので『Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方』の3rd editionが発売されました。

私は、この『Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方』の1stと2nd editionも持っています。

言わば、この本のヘビーユーザーです。そんな私がこの本のレビューをします。

1st、2nd、3rdと版を重ねるごとにパワーアップされてきました(正直1stと2ndではそれほど変わっていません。2ndで高度なトピックとしてクイックリグ、Human IKが取り上げられていましたが、3rdではなってなくなりました)。

その代わりに3rdでは、「リグの並列処理」という項目が最後に追加されています。ある程度Mayaのリグに詳しい人は、この項目だけでも読みたいと思うのではないでしょうか。

目次

日本語によるMayaのリギング本というだけでも貴重な存在

『Maya キャラクターリギング – 二足歩行・四足歩行・フェイシャルアニメーション』ブックレビューの記事でも書いたのですが、日本語によるMayaのリギング本は非常に少ないです。

さらに、3rd editionまで版を重ねることが出来るということは、良い本であることに間違いありません

その事実だけでも、「この本が買い」だということがわかります。

しかし、これだけでおすすめするのも乱暴な話なので、内容についてみてみましょう。

Mayaリギング3rd editionにおけるリグのルール

『Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方 3rd edition』における、リグのルール(はじめに より引用)

  1. エッジループ:リグの良し悪しはエッジループで決まる
  2. ジオメトリにキーフレームを打たない(リグで変形させる)
  3. アニメートしないものはロックする
  4. ジオメトリ(GEO)、コントローラ(CNTRL)、スケルトン(SKEL)は[アウトライナ]で別のグループに分けておく
  5. アニメーターが理解できるコントローラを作成する
  6. ハッピーな数式を:コントローラとジョイントはゼロに設定する
  7. ハッピーなヒストリを:必要ないヒストリは消して、リグを高速に保つ
  8. ジョイントの位置、優先回転角、方向:これらた適切でないと素晴らしいモデルも台無しにリギングの前に十分注意しましょう。でないと、なり直すはめになります
  9. ブレンドシェイプ:[トランスフォームのフリーズ]を実行してはいけない
  10. スキニング:作業を慎重に行う。適切なリグでもスキニングがまずいと台無しに

Mayaリギング3rd editionにおける「リグのルール」というものが定義されています。

1番目は、モデラーの問題ではありますが、モデラーの人がリグの勉強のためにこの本を読むこともあるでしょう。そのときはこの1番目を肝に銘じておきましょう。

あとは3番のアニメートしないものはロックするという項目は、面倒ではありますがトラブルのもとになります。こちらも肝に銘じておきましょう。

初心者の方は、最低限「リガーの人はこんなにもいろいろなところに気を使ってリギングを行っているの」ということだけでも理解しておきましょう。

この本で学べること

Mayaのリギング初心者(Mayaのユーザーとしては中級者)が、リギング中級者になれる本です。

しかし、3rd editionまで版を重ねているだけあって、Mayaのリギング中級者以上の人にとっても

初心者は

Advanced SkeltonmGeareSTといったリギングツールを使わない、Mayaの標準機能を使ったリギングについて基礎から学ぶことが出来ます。

私は、これらのリギングツールについて良く知らないのですが、今はリギングをする場合はこれらのツールを使うことが多いようです。

これらのリギングツールは生産性を大幅に上げてくれる非常に素晴らしいものです。しかし、「これらのツールがなければなにも出来ない」といった状態におちいってしまう危険性があります。特に新人時代からこれらのツールを使ったリギングしかしたことがない場合には危険性が高まります。

そこで、Mayaの標準機能を使ったリギングを基礎から学んでみてください。

そうすればきっと「これらの素晴らしいツール達が裏でこんなことまでやってくれていたのか!」と今使用しているツールへの理解を深めることが出来ます。また、基礎から学ぶことによってトラブルへの対処方法が上手くなるかもしれません。

ということで、Mayaの標準機能を使ったリギングスキルが初学者(初心者)から中級者レベルまでレベルアップ出来ます。

こういった人たちが主なターゲット層です。

自分がまさにその層ど真ん中にいる!と思った人は購入して公開することはないでしょう。

中級者以上は

基本的にはMayaのリグ初心者が中級者になるための本ですが、それだけではありません。

PART IIIの高度なトピックに、中級者以上が知りたいであろう内容が書かれています。

特にChapter20のリグの並列処理の部分はなかなか情報がないところなので必読です。

オフセット親行列(Offset Parent Matrix)について少しだけ触れられています(正直もっと詳しく解説してほしかったけれど、基本的に初心者が学ぶ本なので仕方がないのかな…)。

そして、リグのパフォーマンスを計測するプロファイラについて書かれています。私自身プロファイラというものがアップデートで追加されたのは知っていましたが、具体的な使い方というのはわかりませんでした。

しかし、この本ではこのプロファイラの解説がされています。

私が今まで読んだMayaのリグの本ではこういった内容に触れたものはありませんでした。

これらの内容にピンとくるものがあったら『Mayaリギング3rd edition』を一度手にとって見てください。

ただし、非常に惜しいのが、「これらの話題にはページ数が少なく軽く触れられているだけ」ということです。

とはいえ、ここまでのことを書いてある本は他にないので、『Mayaリギング3rd edition』をぜひ一度中身を確認してみてください。

こんな人にはおすすめ

Mayaのリグを勉強したい人すべてにおすすめです。

しかし、リギングという地味な作業は向き不向きがあると思います。

そうしたわけで、おすすめする人とおすすめしない人をみてみます。

おすすめする人

  • 真面目にMayaのリグを体系的に学びたい人
  • しっかりと手を動かして、本に書いてあることを実践して学ぼうと思う人
  • Mayaのリグを本気で基礎から学びたい人

本気で学びたい人には特におすすめです。

実際に手を動かしてやってみると上手くいかない場合もあり、そこをどうすれば上手くいくのかを考えることこそがリギングの本質でもあるので、じっくりと腰を据えて学んでください。

おすすめしない人

  • Advanced Skelton、mGear、eSTといったツールを使ったリギングだけ出来れば良いと思っている人
  • 読むだけで分かった気になって実際に手を動かしてまで学びたくない人
  • リスト

リグには向き不向きがあります。特にリグの重要性がよくわからない段階では学習へのモチベーションが上がらずに、ただ退屈で苦しい作業になってしまうかもしれません。

そうした場合には、一度リグから離れてみてください。

リグの重要性というものがわかってから戻ってきても遅いということはありません。

Advanced Skelton、mGear、eSTといった非常に優れたツールでのリギングだけで十分だという人は、無理に学ぶ必要はないでしょう(今のところ)。そういった人も、この本で学ぶ必要性が出た時に学んでください。もしかしたら、そのときには4th editionが出ているかもしれないので、この本のことは忘れないで頭の片隅にでも記憶しておきましょう。

まとめ

Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方 3rd edition
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • 日本語でMayaのリギングについて学べる数少ない本。
  • 基礎から中級レベルまでMayaのリギングにつて体系的に学べる。
  • 版を重ねるごとに完成度が増し、「リグの並列処理」といった高度な内容にまで触れられている。
デメリット
  • 新たな目玉機能であるオフセット親行列(Offset Parent Matrix)について、しっかりと解説をして欲しかった。
  • メインの鳥のキャラクター以外が、魅力的ではない。

まず、Mayaのリグについて勉強している(これからしようと思っている)人は、マストバイです。

Mayaのリグの本をどれか一冊だけおすすめする場合は、迷いなく今回紹介した『Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方 3rd edition』をおすすめします。

3rd editionまで版を重ねることが出来たという事実からも良い本であることは確定です。

さらに、「リグの並列処理」といった非常に高度な内容にまでも、ちょっとですが触れています。

残念な点があるとすれば、オフセット親行列(Offset Parent Matrix)を使用してのリギングについて解説をしてほしかったところです。

Offset Parent Matrixを使ったリギングは、従来のコンストレインを使用したものに比べ、パフォーマンスが上がることが知られています。今後はこの方法をメインで使用するリギングが主流になって行くのか非常に重要な手法だけに、詳しく解説してほしかったです。

4th editionが出るのならば、ぜひともOffset Parent Matrixを使用したリグについて詳細に解説した本になっていることを強く期待しています。とはいえ、コンピュータの処理速度も上がっているために、「コンストレインで全く問題ない」時代になっているのかもしれませんが…。

とはいえ、3rd editonで学べる内容はOffset Parent Matrix時代になったとしても必要な知識なので、しっかりとこの『Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方 3rd edition』で学んでおきましょう。

そして、来たるべき4th editionに備えましょう(3rd editionの売上によっては4th editionがあるかどうかわからないので、Mayaのリグを勉強する人はしっかりと売上に貢献しておきましょう)。

Mayaリギング正しいキャラクターリグの作り方3rd edition

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