これまでMayaでArnoldのレンダリングを素材AOVで出力する方法とライトごとのAOVで出力する方法について説明しました。
「じゃぁ、いったいどっちを出力すればいいの?」
との疑問を持たれるのは、もっともだと思います。
「だったら、両方いっぺんに出力しちゃえばいいじゃない!」
ということで、今回はその2つの方法を組み合わせてより自由度の高いAOVを出力します。
ただし、AOVが増えるぶんDavinci Resolve Fusion 等でのコンポジット作業は複雑になってしまいます。



まずは素材ごとのAOVに出力する
ここで基礎編で引用したAutodesk Arnold公式の引用文を再び引用します。
ビューティ AOV の合成
RGBA ビューティ AOV は、各照明のパーツが含まれている小さな AOV に分割することができます。コンポジットでは、これらの AOV を個別に修正して追加し、フル ビューティ AOV を取得することができます。
AOV を増やすとコンポジットをさらに高度にコントロールできますが、処理に手間がかかるようになります。また、特にライト グループと結合されている場合に、必要となるメモリとディスクの容量がさらに増えます。
フル ビューティ AOV のための追加 AOV のサンプル セットは次のとおりです。
- direct、indirect、emission、background。
- diffuse、specular、coat、transmission、sss、volume、emission、background。
- diffuse_direct、diffuse_indirect、specular_direct、specular_indirect、coat、transmission、sss、volume、emission、background。
ビューティ AOV に必要なのは、そのような AOV を足し合わせることだけです。ビューティ AOV の再構築にアルベド AOV は不要ですが、diffuse_albedo で diffuse を割ることによって、サーフェステクスチャなしのライティングのみを取得したり、またはテクスチャのディテールを損なわずにライティングのノイズのみを除去するために使用できます。
Autodesk Arnold AOV – Arnold User Guide より
ここで作成するMayaシーンでは、transmission、volume、emission、backgroundはないのでAOVには含めません(基礎編ではあえて含めていましたが)。
オレンジのアンダーラインを引いた「diffuse_albedoでdiffuseを割ることによって…」ということから、それぞれの「*_albedo」も出力します。
つまり、「diffuse、diffuse_albedo、specular、specular_albedo、coat、coat_albedo、sss、sss_albedo」をライトAOVごとに出力します。
ちなみにコンポジットで「割る」とはなにか?
答えだけを書くと「割る」とは「Screen」です。
以下の記事に書いてあります。

AOVごとに出力するライトグループを指定する

まず、以上のAOV 「diffuse、diffuse_albedo、specular、specular_albedo、coat、coat_albedo、sss、sss_albedo」の三角ボタンから それぞれのAttribute Editorを選択して以下のように「All Light Groups」にチェックを入れます。するとそれぞれのライトグループごとに素材を出力してくれます。ちなみに上にある「Global AOV」にチェックをいれるとライトグループ以外のライト(このMayaシーンではライトグループ以外のライトはないので真っ暗になります)。

これでバッチレンダリングすればOKです。
このMayaシーンはここからダウンロードできます。
レンダリングしたopenEXRの連番ファイルはここ(ファイルが大きくてアップロード出来ませんでした。出来次第更新します)からダウンロードしてください。
2020.12追記
容量が無駄に大きくダウンロードするまでもないデータであり、なによりもダウンロードされた回数が非常に少なかったためダウンロードをやめました。


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