映画やドラマでよく見る 肩越し(Over The Shoulder/OTS)の会話 では、どちらの人物にピントを置くかで視線の行き先が変わります。話している側だけでなく、聞いている側のリアクション に注目させたいときにも使います。Maya×Arnoldなら、カメラの Focus Distance を合わせて 3Dの被写界深度(Depth of Field/DOF) をBeautyに焼き込めます。
本記事は Fusion 連載 【Resolve Fusion Vol.9】 の 3D側・前提編 です。Vol.9は 2段構成 です。
- 本記事(いまここ) … 肩越しシーンで狙ってDOFレンダー。あわせて Z-depth を出す
- Fusion Vol.9(続編) … 同じZで2Dボケ/フォグ。Arnoldで焼いたDOFと比較する
前回(Vol.8) はライトの色と強さでした。Vol.9は 深度——ピントと空気感です。コンポ編の区切り回でもあるので、デモシーンは新規に作成しました。
検証の前提は Maya 2027 +付属 Arnold、出力は Vol.1どおり ACEScg・マルチパート OpenEXR を想定します。
Vol.9を読む順番
【Maya×Arnold】肩越し会話でフォーカスを合わせてDOFレンダー|Z-depth出力つき ← いま読んでいる記事(3D側)
【Resolve Fusion Vol.9】Z-depth入門|2Dボケとフォグ、Arnold DOFとの比較 ← 続編(Fusion側)
連載の前後・前提





今回のシーン——肩越し会話(Over The Shoulder/OTS)
構図は次のとおりです。
| 位置 | 内容 |
|---|---|
| 左手前 | 肩越しのキャラクター(後頭部〜肩が画面を占める)。カメラに背を向け気味 |
| 右奥 | こちら(カメラ)を向いている顔が見えるキャラクター |
作例は、手前と奥でシャツの色を分けたキャラ(緑/赤)と、部屋のコーナー(色の違うチェッカー壁)です。見た目が違うと、スクショでも「今どちらにピントか」が分かりやすいです。切り返しカメラも同じ手順です。本編は肩越し1本で足ります。


ポイントは次です。
- 二人の 距離差 をはっきり取る(近すぎるとDOFの差が弱い)
- 奥の顔がきちんと見える画角にする(肩が画面の大半を占めすぎない)
- 髪や細い透けは控えめに(あとの2Dボケ比較でも汚れにくい)
フォグ用の森カットは本記事では扱いません(Fusion編の応用)。ここでは ピントの切り替え に集中します。
3Dの被写界深度(DOF)でやること/Zでやること
| 目的 | 本記事で出すもの |
|---|---|
| 絵としてピントを決めて焼く | Beauty(Enable DOF オン)。奥フォーカス版/手前フォーカス版 |
| Fusionで後からピントやフォグを触る材料 | 同じカメラで DOFオフのBeauty+Z(32-bit float) |
Arnoldの3D DOFは、レンズのボケに近く、反射や半透明にもボケが乗ります。そのぶん ピントを変えるたびに再レンダー です。
Zを出しておけば、Fusion側でピント位置を試せます(完全な3D DOFの代替ではなく、使い分けです)。詳しい比較は続編へ回します。
ステップ1:ショットカメラを用意する(レンズとFilm Back)
- 肩越し構図が見える カメラ を作り、Renderable Camera に指定する
- 画角・高さは、左手前の肩と右奥の顔が両方読める位置に
- カメラシェイプを選び、Attribute Editor で次を揃える(作例の基準)
- 以後の Focus Distance は このカメラから被写体までの距離 です
作例で使うレンズ設定
会話の肩越しでは、広角より 標準〜やや中望遠 の方がボケの差が出やすく、歪みも抑えられます。本記事の作例は次で進めます。

| 項目 | 作例の値 | 意味 |
|---|---|---|
| Focal Length | 50 | レンズの焦点距離(mm)。いわゆる「50mm」 |
| Camera Aperture(mm) | 36 × 24 | フィルム/センサー相当の大きさ(フルフレーム) |
| Film Gate | User のまま | 下の Camera Aperture を手で使う(プリセット一覧の名前) |
| Fit Resolution Gate | Fill(初期のままで可) | レンダー解像度の枠に、Film Back をどう合わせるか |
Film Gate とは何か
Film Gate は、カメラの「フィルム窓/センサーの大きさ」の プリセット名 です。選ぶと、その規格のサイズが Camera Aperture に自動で入ります。プリセットは実写カメラの規格名のショートカットであり、レンズ銘板そのものではありません。
Mayaのカメラは、最初から Camera Aperture(mm)が 36×24 になっていることがよくあります。これは写真のフルフレーム相当で、本記事の「50mm」の話とも揃いやすいです。
フルCG(実写カメラと厳密に合わせない場合)は、Film Gate=User・Camera Aperture=36×24のままで問題ありません。 本記事の作例もこれです。最終の画面比(16:9や1.85:1など)は、主に レンダー解像度(やResolution Gateの枠)側で決まります。Film Gateを1.85用に変えなくても、横長でレンダーすれば1.85の画になります。

一覧に出るものの、ざっくりした意味は次のとおりです。
| Film Gate | 簡易説明 |
|---|---|
| User | 自分で入れた Aperture を使う。フルCGの基本。36×24ならこれ |
| 16mm Theatrical | 16mm映画の劇場用枠。小さなセンサー相当 |
| Super 16mm | 16mmを横に広げた規格。インディ/ドキュメンタリーっぽい画角の話で出ることがある |
| 35mm Academy | トーキー以降の古典ハリウッド標準枠(アカデミー比・約1.37:1)。36×24より小さい。常用しない |
| 35mm TV Projection | 古いTV向け映写を想定した35mm枠。今のWeb用フルCGではほぼ不要 |
| 35mm Full Aperture | サウンドトラック分を見込まない、広めの35mm開口(サイレント期寄り) |
| 35mm 1.85 Projection | 劇場の「普通のワイド」(約1.85:1)用のフィルム窓プリセット。画角計算用のApertureが変わる。 最終画を1.85にするだけなら、通常はレンダー解像度/枠で足りる |
| 35mm Anamorphic | アナモフィック(強いワイド)前提の枠。歪み・フレアまでやる案件向け |
| 70mm Projection | 70mm映写系の大判枠 |
| VistaVision | 35mmを横走りにした大判系フォーマット |
| Imax | IMAX系の大判枠 |
Academy などをなんとなく選ぶと Aperture が変わり、同じ 50mm でも画角が変わります。 デフォルトが 36×24 なら Focal Length とカメラ位置だけで足ります。Film Gate のプリセットは、実写合わせやゲート指定があるとき以外は触らなくてよいです。
Attribute Editor で知っておく項目
カメラシェイプのアトリビュートは多いので、本記事で触る/触らないを分けます。
| 項目 | 触るか | 説明 |
|---|---|---|
| Focal Length | 触る | 画角の主役。作例は 50。小さくすると広角・大きくすると望遠 |
| Angle of View | 見るだけ | Focal Length と Film Back から自動計算される画角。直接いじらなくてよい |
| Camera Scale(Camera Attributes) | 触らない | 光学側の倍率。通常は 1.0 のまま。ビューポートの見た目用ではない |
| Object Display → Locator Scale | 必要なら | ビューポート上のカメラアイコンの表示サイズだけ変える。画角やDOFには影響しない |
| トランスフォームの Scale X/Y/Z | 触らない | カメラ本体を拡大縮小してしまう。表示を大きくしたいときは使わない(Locator Scale を使う) |
| Film Gate / Camera Aperture | 最初に確認(基本は触らない) | センサー相当の大きさ。フルCGは 36×24 を一度確認したら、レンズを変えてもそのままでよい。12mmでも120mmでも変えなくてよい |
| Fit Resolution Gate | 基本 Fill | Film Back とレンダー解像度のアスペクトが違うときの合わせ方 |
| Overscan(Display 見出し内) | プレイブラスト前は 1.0 | Gate 表示で勝手に大きくなりがち。枠を消しても戻らない。Film Back の Fit とは別 |
| Near / Far Clip Plane | 必要なら | 近すぎる/遠すぎるものを描画から切る。Zの値にも関係しうる。極端に狭めない。作例は Near 0.1 / Far 10000 程度で十分なことが多い |
| Depth of Field(Maya標準の見出し) | Arnoldでは使わない | Maya純正のDOF欄。Arnoldで焼くときはここではなく、下の Arnold 見出しの Enable DOF を使う |
| Arnold → Enable DOF / Focus Distance / Aperture Size | ステップ3で触る | 実際にBeautyへ3Dボケを焼く設定 |

カメラのアイコンが小さすぎるときは、cameraShape の Attribute Editor で Object Display を開き、Locator Scale を上げます(Visibility などのチェックのすぐ下)。Camera Scale や、チャンネルボックスの Scale X/Y/Z は触らないでください。
Camera Aperture(36×24)は「カメラボディ側」です。広角・望遠は Focal Length だけ変え、Apertureは変えません。アクションカムやスマホのように 小さなセンサー相当 にしたい、大判にしたい、実写カメラに合わせたい、といったときだけ Aperture/Film Gate を変えます。
構図は Focal Length=50 と Film Back=36×24 を固定したまま、カメラを前後・上下に動かして決めます。画角を変えたいときは安易に Focal Length をいじらず、まず位置で合わせると「50mmの画」として一貫します。
ビューポートの Gate 表示(Film Gate / Resolution Gate)
構図確認のために、カメラ越しビューで枠を出せます。
| 表示 | 何の枠か |
|---|---|
| Film Gate | Camera Aperture(センサー/フィルム窓)の枠 |
| Resolution Gate | Render Settings の解像度で実際に焼ける範囲の枠 |
出し方の例:カメラを Look Through したパネルで View → Camera Settings → Resolution Gate(または Film Gate)。Attribute Editor の Display でもオン/オフできます。
大事なこと:Gate の「表示オフ」だけでは、画角が元に戻らないことがあります。
Maya の公式ヘルプでも、Resolution Gate をオンにするとカメラの Overscan が大きな値に変わり、枠の外側まで見えるようになります(実環境では 1.3 になることが多い。ヘルプ記載の例では 2.0 の場合もある)。Film Gate 表示でも Overscan が変わることがあります。あとから Gate の線だけ消しても、Overscan が 1.0 より大きいと、ビュー(とプレイブラスト)は広いままです。だから「枠を消したのに画角が違う」が起きます(私は何度もやらかしたことがあります。要注意!)。
やらかしやすい流れと直し方
- Resolution Gate を付けて構図を見る(このとき Overscan が自動で上がることがある)
- そのまま Playblast → 枠外まで写ったプレビューになる
- Gate 表示だけオフにして再度 Playblast → まだ画角が広い/レンダーと違う
対処:

- カメラシェイプ(
cameraShape)の Attribute Editor を開く - Film Back の下の方ではなく、Display(Display Options)見出しへスクロール
- そこに Overscan があるので
1.0に戻す(これで画角が戻る)
※ 次と取り違えないでください。
| 似た名前 | 別物 |
|---|---|
| Display → Overscan | ビューの見え方だけ広げる。プレイブラストに効く。通常は 1.0 |
| Fit Resolution Gate の Overscan | Film Back 側の「合わせ方」の選択肢の一つ。数値の Overscan ではない |
| Shake Overscan | カメラシェイク用。普段は触らない |
そのほかのプレイブラスト前チェック:
- Fit Resolution Gate は作例どおり Fill のままを基本にする
- Display Size を From Render Settings にする、など解像度を揃える
- 最終確認用なら Gate 線はオフでもよいが、Overscan を戻すのを忘れない
- 「レンダーと完全に同じ1枚」が必要なら、Playblast より Render Sequence / 本番レンダー の方が確実です
作業中だけ枠外を見たいときは Overscan を上げても構いません。その場合は プレビューを出す直前に必ず 1.0 へ戻す、と決めておくと安全です。

(Overscan 1.3)

(Overscan1.0)
ステップ2:ピント距離を測る
Arnoldの Focus Distance には、カメラから「ピンと合わせたい点」までの距離を入れます。
測り方の例:
- 奥キャラの顔(または手前キャラの肩)付近に ロケータ を置く
- カメラとロケータの距離を測る(Distance Tool、または選択して Heads Up Display の Object Details など)
- その数値を控える
| 狙い | Focus Distance の目安 |
|---|---|
| 奥の顔にピント | カメラ → 右奥キャラの顔 |
| 手前の肩にピント | カメラ → 左手前キャラの肩/後頭部 |
単位はシーンの単位系に合わせます(cmシーンならcmのまま)。


ステップ3:カメラで Enable DOF を入れる
※ DOF は Attribute Editor の Depth of Field(Maya標準) ではなく、Arnold 見出し側です。

- ショットカメラのシェイプを選択し、Attribute Editor を開く
- Arnold 見出しへスクロール
- Enable DOF をオン
- Focus Distance に、ステップ2で測った値を入れる
- Aperture Size でボケの強さを調整する
補足:
- Aperture Size は写真の F 値そのものではなく、ワールド単位の絞り半径 です。大きくするとボケが強くなる
- 出発値 は「最初に入れる仮の数」です。シーンの単位や被写体距離で効き方が変わるので、万能の正解値はありません。まずは小さめから IPR で見て、足りなければ上げます
- 本記事の作例は Aperture Size
1.0(50mm・フルフレーム相当)。手前の肩はしっかりボケ、奥の顔はシャープ、という差が出る値です。強すぎて肩が誰だか分からなければ0.4〜0.7へ下げてください - 50mmだと、顔のすぐ後ろの壁はあまりボケないことが多いです。 手前(カメラに近い肩)と、ピント面のすぐ奥(壁)では距離の効き方が違います。壁まで強く溶かすならレンズを伸ばす(70〜85mm)か、壁をさらに遠ざけるか、Aperture をさらに上げます。会話の肩越しでは、壁がややシャープなままの方が自然です
- Aperture Blades などを触るとボケ味(玉ボケの形)が変わりますが、本記事では必須ではありません
- Focus Distance と Aperture Size 以外のレンズ関連は、ステップ1の 50mm + 36×24 のままで進めます
Arnold RenderView(または IPR)で確認します。ノイズが出やすいので、見た目が決まったら本番用にサンプルを上げます。
ステップ4:2パターン焼く(奥ピント/手前ピント)
同じカメラ・同じApertureで、Focus Distance だけ変えて2本出します。
| ファイルの例 | Focus Distance | 結果のイメージ |
|---|---|---|
ots_focus_far.####.exr | 奥の顔 | 顔がシャープ、手前の肩がボケる |
ots_focus_near.####.exr | 手前の肩 | 肩がシャープ、奥の顔がボケる |
どちらも Enable DOF オン の Beauty です。アイキャッチや「3Dで焼いた正解例」として使います。


ステップ5:比較・コンポ用に DOFオフ+Z を出す
Fusion編で「後からピントを変える」「Arnold焼きと比べる」ために、同じカメラ・同じフレームで次も出します。

- カメラの Enable DOF をオフ
- Render Settings の AOVs タブで、Available から Z を Active に追加する
- Active 側の Z を確認する
- data:
float - filter:
closest(ガウシアン等でなめらかにしない。深度がにじむ) - driver:
<exr>(Vol.1どおりマルチパート OpenEXR)
- data:
- 出力は 32-bit float のマルチパート OpenEXR(Vol.1のACEScg・AOV基本 を踏襲)
- Beauty(RGBA)と Z が同じEXRに入るようにする(Common の File Output で Multipart 等、Vol.1の設定)
Common の「Depth channel (Z depth)」は使わない
Render Settings → Common タブ → Renderable Camera の、Alpha channel の下にある Depth channel (Z depth) チェックは オフのまま にしてください。
本連載(および Fusion での2Dボケ/フォグ)で使うのは、AOVs タブの Z です。Vol.1で AOV をマルチパートEXRに載せる流れと同じです。Common 側の Depth channel は古い/別系統の出し方になりやすく、フィルタや精度の扱いも Autodesk/Arnold の AOV 運用と揃いにくいので、ここでは使いません。


| Part | 用途 |
|---|---|
RGBA(DOFオフ) | Fusionで2Dボケをかける土台。Arnold DOF版との比較用 |
Z(AOVs) | 距離情報。ピント位置やフォグのマスクに使う |
ビューアで Z が真っ白/真っ黒に見えても、値がカメラ距離の float であることが多く、見た目のグレーランプが綺麗でなくても正常なことがあります。Fusion側で扱いを確認します。


会話シーンとして成り立たせるために2つのショットをレンダリングしました。
補足:3Dでフォグを足す(Fog)
肩越し本編とは 別カット(森+キャラ1人)です。Maya標準の Environment Fog は使いません。Arnold の Atmosphere に Fog(ノード名 aiFog)を載せます。
aiFog には軸が2本あります。Fusion Vol.9 のZでやるのは、このうち 距離 の方です。
| パラメータ | 何をしているか | Z(2Dフォグ)との関係 |
|---|---|---|
| Distance | カメラから遠いほど霞む(距離フォグ) | これがZの対応 |
| Height + Ground Normal | 「上」方向に減衰する(高さフォグ) | Zには無い。2DのZだけでは足元の帯は出ない |
光の筋やボリュームシャドウが欲しいときの Atmosphere Volume(aiAtmosphereVolume)は別物です。本記事では扱いません。Fog と Atmosphere Volume は Atmosphere スロットに 同時には載せられません。
森カットは Enable DOF オフ のままです。Zの出し方(AOVs・float・closest。Common の Depth channel は使わない)は肩越しと同じです。
手順
- Render Settings → Arnold Renderer → Environment → Atmosphere
- マップボタンから Fog を作成する(
aiFog) - 先に Ground Normal を
0, 1, 0にする(Z は0) - IPR を出しながら、Distance → Height の順で合わせる(順番を逆にすると白い帯や白い壁になりやすい)


パラメータ
Arnold 自体の世界の「上」は Maya と同じ Y-up です。Z なのは Fog ノードの Ground Normal の初期値(0, 0, 1)だけです。初期のままだと Height が奥行き方向に乗るので、地面から立ち上る霧にも、距離フォグにもなりにくいです。

| 項目 | 意味 | 作例 |
|---|---|---|
| Ground Normal | Height の「上」。Mayaでは Y=1 | 0, 1, 0(初期の Z=1 から必ず変える) |
| Ground Point | フォグが始まる位置 | 地面が原点付近なら 0, 0, 0 のままで可 |
| Color | フォグの色。不飽和が扱いやすい。空に寄せると奥が溶けて見えやすい | 作例は HSV H 180 / S 0.25 / V 1.0(薄いシアン) |
| Distance | 距離に対する濃さ。公式どおり、小さいほど薄く、大きいほど濃い | 作例 0.002。初期の 0.020 だと不透明になりやすい |
| Height | 高さ方向の減衰。低いと足元だけの帯、大きいと画面全体に近い | 作例 300。数字の正解はシーンのスケール次第 |

Distance と Height は別物です。Height を下げても濃さは落ちません(帯が細くなるだけ)。濃さを変えるのは Distance です。
合わせ方(この順)
濃いまま Height を上げると、白い壁が上に伸びるだけです。薄い状態で Height を上げます。
- Ground Normal を
0, 1, 0 - Height は仮で
50前後のままでよい - Distance を下げる(
0.020→0.005→0.002など)。白い塊が半透明になり、地面と手前の幹の色が見えるまで - 奥の木が手前より霞んでいるかを見る。それが距離フォグ
- まだ腰の位置で水平に切れるなら、薄い状態のまま Height を上げる(作例は
150〜300)
判断の目安:手前の岩・花・幹の根元が同じ白さで消えるなら、まだ高さ。奥の木だけが空の色に寄り、手前の幹の上部が残るなら、距離です。キャラも距離に応じて少し霞むのが正しい結果です。
見た目が決まったら Beauty を焼きます。濃さや色を変えるたびに再レンダーです(3D DOFと同じ)。


Fusion用に出すとき
2Dフォグの入力は、Fog を外した(または無効にした)Beauty + AOVs の Z です。Fog 済みの絵に Fusion でもう一度距離フォグを重ねると二重になります。3Dと比較するなら、同じカメラ・同じフレームで Fogオン と Fogオフ+Z を出し分けます(DOFオン/オフと同じ)。Fogオフ側のEXRを上書きしないよう、出力パスを分けます。
使い分けの表は Fusion Vol.9 の応用にあります。
手順(軽く)
- Render Settings → Arnold Renderer → Environment → Atmosphere
- マップボタンから Fog を作成する(
aiFog) - IPR を出しながら、次を触る
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| Color | フォグの色。朝靄ならやや暖色、遠い山なら寒色寄り、など |
| Distance | 距離に対する濃さ。奥の木がどのくらい残るかを見ながら合わせる。最初は小さめから |
| Height | 地面からの高さ。低いと足元だけ、大きくすると画面全体に近い |
| Ground Normal | 高さフォグの「上」方向。初期が Z 向きだと縦に乗るので、地面から上げるなら Y=1(0, 1, 0) |
(※ここに Render Settings の Atmosphere と Fog の Attribute スクショを挿入予定。森カットができてからでよい)
見た目が決まったら、その設定で Beauty を焼きます。濃さや色を変えるたびに再レンダーです(3D DOFと同じ)。
Fusion用に出すとき
2Dフォグの入力は、Fog を外した(または無効にした)Beauty + AOVs の Z です。Fog 済みの絵に、Fusionでもう一度距離フォグを重ねると二重になります。3Dと比較するなら、同じカメラ・同じフレームで Fogオン と Fogオフ+Z を出し分けます(DOFオン/オフと同じ)。
森カットは 3D DOF は不要です。出し方の Z(float・closest)は肩越しと同じです。
使い分けの表は Fusion Vol.9 の応用にあります。
よくあるつまずき
どこにもピントが来ない/全体がボケる
原因: Focus Distance がシーンの距離と合っていない。または Aperture Size が大きすぎる。
対処: ロケータで測り直す。Aperture を一度小さくしてから上げる。
奥と手前で差が弱い
原因: 二人の距離が近い。レンズが広角すぎる。
対処: 奥キャラを遠ざける、またはカメラを寄せて遠近を強調する。
Zをコンポに持っていくと使えない
原因: 8-bit/PNGに焼いている。フィルタが closest でない。DOFオンのBeautyだけ出している。Common の Depth channel (Z depth) だけで出している(AOVs の Z ではない)。
対処: AOVs タブの Z(float・closest)をマルチパートEXRへ。比較用BeautyはDOFオフ。Vol.1 のAOV出力を再確認。
Fogを足しても縦にしか乗らない/奥に帯のように溜まる
原因: Ground Normal が初期の Z=1 のまま。Height が奥行き方向に乗っている。Arnold が Z-up なのではなく、Fog ノードの初期値だけが Z 向き。
対処: Ground Normal を 0, 1, 0 にする。
足元だけ白い帯/キャラの足だけ消える(奥の木の先端はクリア)
原因: Height が低い。高さフォグになっており、距離フォグではない。
対処: 先に Distance を下げて透かす。そのあと Height を上げる(作例は 150〜300)。Height を 0.005 のように下げても濃さは変わらない。
Fogが濃すぎて手前まで真っ白/Heightを上げたら白い壁が上に伸びる
原因: Distance がシーンのスケールに対して大きい。濃いまま Height を上げている。
対処: Height は一旦そのままで、Distance を下げる。半透明になってから Height を上げる。単位系(cmシーンなど)で効き方が変わるので、数字の「正解」はシーンごとに探す。作例の Distance は 0.002。
DOFでノイズが多い
原因: 被写界深度はサンプルを食いやすい。
対処: Camera (AA) 等を上げる。見た目確認はIPR、本番はバッチ。
Gateを消したのにプレイブラストの画角がレンダーと違う
原因: Resolution Gate 等を出したときに Overscan が大きくなり、表示をオフにしても Overscan が残っている。
対処: カメラの Overscan を 1.0 に戻してから Playblast。詳しくはステップ1の Gate 表示の項。
まとめ(Fusionに渡すもの)
DOFオンのBeauty(奥ピント/手前ピント)と、Z用のプレート(DOFオフのBeauty+AOVsのZ)は別レンダーです。 同じカメラ・同じフレームでも、設定を切り替えて出し分けます。
| 出力 | 内容 |
|---|---|
| Beauty ×2 | 奥フォーカス/手前フォーカス(3D DOFオン) |
| Beauty ×1 | DOFオフ(同じカメラ) |
| Z | AOVs の Z(float・closest)。Common の Depth channel は使わない。同じEXR推奨 |
これで「フォーカスを合わせて焼いたBeauty」と「ZからFusionで作るボケ」を、同じ構図で並べられます。森カットで3Dフォグも試すなら、上の補足どおり Fogオン/オフを出し分けます。続きは Fusion Vol.9 へ。
次回予告:Fusion Vol.9
【Resolve Fusion Vol.9】Z-depth入門|2DボケとArnold DOFとの比較 では、Zを使ったピントの後付けと、本記事の3D DOFとの見比べを扱います。応用で、同じZを使った距離フォグと、本記事の Fog との使い分けも扱います。











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