DEATH STRANDING レビュー(ネタバレなし)

当ページのリンクには広告が含まれています。
デス・ストランディング タイトル

DEATH STRANDINGが発売されて1ヶが月経ちました。多くの人がクリアをして落ち着いてきたところでこのゲームの感想を書きます。私もゲームをクリアして少し時間が経ったので冷静にこのゲームを振り返ってみます。

このブログをはじめて初のゲームネタとしてこのDEATH STRANDINGを取り上げることができることを嬉しく思います。

目次

A HIDEO KOJIMA GAMEが帰ってきた

私が小島監督のゲームを初めてプレイしたのはスナッチャーです。PC8801MA2というパソコンで遊びました。冒頭の時限爆弾のカチカチ音を聞くためにゲーム内で指示されるまま音量を最大にして、その後大爆発を大音量で聞かされてとんでもない目にあったその瞬間からA HIDEO KOJIMA GAMEのファンになりました(ちなみに友達にも同じ思いをさせてやろうとスナッチャーを遊んでいるのを隣で見ていて引っかかるかと思いきや、カチカチ音を確認してしばらくしたところで音量が最大になっているのに気づいて自分でボリュームを下げてしまい残念な結果となってしまいました)。スナッチャーを気に入ったので後にポリスノーツもこのパソコンで遊びました。

それからはPlayStationのメタルギアソリッドはどういうわけか縁がなく発売当時は遊びませんでした。そしてPlayStation 2になってのメタルギアソリッド2は遊んだわけですがサブスタンスを遊んだので英語音声でした。なので「スネーク=大塚明夫」というのは私の中にはまだ存在しませんでした。そういう意味ではメタルギアソリッド3スネークイーターをプレイして初めてメタルギアソリッドシリーズを知ったのかもしれません。よって私にとってはメタルギアソリッド3がとても印象深いです。最後のザ・ボスとの戦いや明日早く置きなければならないのにジ・エンドとの戦いでなかなか見つからない。どうしよう…(なんとか倒せましたが)。あと無線もいろいろなネタが仕込んであって…等。

PlayStation 3になってからはメタルギアソリッド4ガンズ・オブ・ザ・パトリオット。今までのシリーズの集大成ですが、シリーズ全部遊んでいたわけではないのでストーリーを完全に堪能できたわけではありませんでした。私として4になって変わって最も良かったのは操作方法です。Lボタンで武器を構えてRボタンで攻撃(射撃)するというグローバル・スタンダードな操作方法に変えたことです。これでストレスなく操作できるようになりました。グラフィックとサウンドは当時のPS3最高峰のものとして今後のゲームのベンチマークとなりうる素晴らしいものでしたが、ステージクリア型のゲームで洋ゲーをよく遊ぶ人達にとってはヴィジュアルとサウンドが素晴らしいだけに逆にちょっと古臭く感じたかもしれません。今思えば今後PS3時代に海外のゲームとの技術差を見せつけられる時代を予見していたのでしょうか。

日本のゲーム市場は携帯ゲーム機が中心になっていたのでPSPでメタルギアソリッドピースウォーカーが発売されました。モンスターハンターポータブル2ndがものすごくヒットし、NintendoDSもバカ売れしてドラクエ9もDSで発売される時代です。私は据え置き機が大好きなのでこの時代は私にとっては暗黒とまでは言いませんがあまり良い時代ではありませんでした。今はスマホの普及とともに携帯ゲーム機が衰退し、ドラクエ11もモンスターハンターワールドもPlayStation 4 で遊べるようになりました。携帯ゲーム機の衰退は寂しいですが、大画面で遊ぶハイクオリティなゲームが好きな人にとっては良い時代が戻ってきたと言ってもよいでしょう。話がずれてしまいましたが、ピースウォーカーは携帯ゲーム機ではありましたが、非常にクオリティーが高く、ストーリーは前4作を知っていなくても遊べるようになっていて新たなメタルギアシリーズ始まりを告げるにふさわしい良作でした。なかでも私が素晴らしいと思ったのはこのゲームのアニメーション(モーション)です。特にプレイヤーであるスネークの操作性とモーションがとてもしっくりくるものだったことです。このゲームにはシリーズ特有のほふく前進のモーションは入っていない(確かヒデラジでほふくを入れてほしいというユーザーの要望に対してメモリが足りないから入れられないと小島監督が答えていたように記憶しています)のですが、その代わりともいえるしゃがみ歩きのモーションがあるのですがそれが素晴らしいのです。PSPのスティックをちょっと入れたり、大きく入れたりした際のレスポンスが非常に自然で切り替えもスムーズでした。おそらくキャプチャーベースのモーションを細かくうまい具合に繋いでいるのではないでしょうか。一般的なJRPGのプレイヤーキャラのようにスピードに応じて歩きや走りのモーションを再生している感がなかったのがとても印象的でした。DEATH STRANDINGをプレイした今となってはYoutubeなどでピースウォーカーの動画を見るだけだとそのようには感じませんが、当時の私はそう感じました。4の中腰歩きには特に感銘は受けなかったのですがピースウォーカーは携帯機という制約の中でこのモーションへのこだわりはすごいと思います。このピースウォーカー以後の小島監督のゲームではモーションを再生している感がありません。よくメタルギアシリーズは敵がみんな同じ格好をしていることからコストダウンされているという話を聞きます。たしかにモデリングやリギング等のコストはJRPGのように様々な見た目の敵が出てくるゲームよりもコストカットできていますが、モーションについては一人のキャラに物凄い数のモーション(基本キャプチャーベースだから出来る面もありますが)があり、それをうまい具合に繋ぐための調整なども他のゲームよりも細かくやっていると思われます。しかしながら、海外の膨大な物量を誇るAAAのゲームなどはモデル、リグ、モーションそれぞれにみなコストをかけられるのでしょう。このコジマプロダクションのコストのかけ方について言及しているものがほとんどないので無意識のうちになにか違うと認識しているのか、それとも気づいている人がほとんどいないのか。もし後者が多いならばコジプロのゲームはモーションにかけるコストが大きいとテキストの色を変えて強調します。

PlayStation 4ではメタルギアソリッドシリーズ最後になってしまったメタルギアソリッド5ファントムペインが出ました。その前にグラウンド・ゼロズがでましたが、この2つで1つのものとしても差し支えないでしょう。ファントムペインは オープンワールドとはいえ少し狭いなど細かいことはいろいろありますが、 バディーと共闘などの新たなシステムを導入し、このゲームにおいてやっと同時代の世界的ゲームと肩をならべることができるようなものができたと思います。しかし、たしかCGWORLDでファントムペインの草を手動で生やした担当の話が書いてあってそのワークフローの効率の悪さなどがツイッターなどで話題にもなりました。このゲームのみならず日本のゲーム開発の効率の悪さをなんとかしないといけません。さすがに今はオープンワールドの地面にすべて手動で草を生やすなんてことはなくなったと信じたいです。

DEATH STRANDINGはお使いクエストに革命をもたらせたのか?

吹雪の中での配達

さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、ここからが実際にDEATH STRANDINGの感想です。このゲームはものを配達するゲームです。つまりRPGでよくあるお使いクエスト、これを延々とやるゲームです。AからBへ、BからCへ、そしてCからAへ…。こんなのがずーっと続くわけですよ。こんなのは普通のRPGだったら地獄です。「ファストトラベルのロード時間が長い」とか文句を言いながらやるやつです。ところがこのゲームはファストトラベルを使うことはできますが、荷物を持ったまま飛ぶことができないので荷物配達のためには利用できません。序盤は乗り物に乗ることもできないので自分の足で歩いて移動するしかありません。足場の悪いところや荷物を担ぎすぎる状態だとバランスを崩しやすくなり、転倒した場合には荷物が傷んでしまいます。このゲームではもちろん敵キャラとの直接的な戦闘はありますが、主な敵はオープンワールドの険しい地形と重たい荷物です。サムが歩いたあとには道ができます。道ができれば今度同じところを通るときに移動しやすくなります。ゲームを続けていけば舗装された国道を引いたり、そこを乗り物で大量の荷物を一度に運べるようになったり、雪山にジップラインを引いて超高速リフトとして猛スピードで移動できるようになります。そのようにして拠点を繋いでゆくことによってどんどん配達が楽になりそのためにどんどん配達をする。モンハンシリーズのように武器防具を作るために モンスターを倒し、その素材から作った装備を使うと戦闘が楽になり、そしてもっと強いモンスターに挑戦してそこでもっと強い装備を手に入れて…。といったループ出来上がっています。DEATH STRANDINGはそのループ構造を荷物配達というものを通して拠点を繋いでゆくというゲームのテーマに組み込むことに成功しています。戦闘がメインであることが多いビデオゲームにおいて移動して繋ぐことをメインにしたゲームがこのDEATH STRANDINGです。たしかに地形との戦い、重い荷物もなんとしても運ぶ自分との戦いという孤独を描いたゲームです。孤独とはいってもオンラインでは無数の人々との緩やかな繋がり(ダークソウルのような緩やかな繋がり。ダークソウルは高難易度で心が折れそうになりますが、ゆるやかな繋がりで励まされたり、みんなここで沢山死んでるんだな…といった共感。DEATH STRANDINGでは直接侵入して助けたり、殺したりといったことはありませんが)を感じさせる。とにかく「移動」と「繋がり」のゲームです。移動に関しては最近のゲームでは面倒なことはなるべく省く傾向があります。特にこの「移動」が省かれがちです。ファストトラベルがその典型で、一度行ったところには自由にワープできるようになっていてわざわざ同じ道を何度も通ることはありません。しかし、このゲームでは同じ道を何度も通る(自分だけでなくどこかの誰かが)ことによって道ができるようになります。そういう細かい変化を感じ取れること出来るかどうかがこのゲームを楽しめるかどうかの分かれ目になっています。

戦闘については序盤は戦う術がないので息を殺して気付かれないように逃げ切るしか方法がありません。その点にストレスを感じる人もいるかと思いますが、難易度選択でVery Easyが用意されているのでこのあたりが日本のゲーム(細かな心配りをしているから)だなぁと思いました。GTAのように多少わかりづらい部分があってもあれだけ売れてしまうのだからそこまでの気配りは必要ないとも言えますがやはり日本のゲームなのです。

つまり戦闘ではなく配達がゲームのメインとしてしっかり機能しているので大成功だと思います。

メタルギアソリッドシリーズから引き継いだテーマ

小島監督曰く、メタルギアソリッドシリーズのテーマは「反核反戦」です。しかし、ピースウォーカーやファントムペインでは核を抑止力として自分たちが利用することができます。スネークは基本的には麻酔銃を使って敵兵を殺さずに制圧したり仲間にしたりできますが、面倒くさければ銃を撃ちまくって殺しまくることも可能です。どのようにも行動できるのがゲームの自由さであり魅力でもあるのですが、小島監督自身はテーマと全く逆の行動も容易にできるということが気にかかっていたのではないでしょうか。その回答としてこのDEATH STRANDINGではミュールやテロリストといった人間の敵を殺してしまうとネクローシス化してしまいヴォイドアウトが起こってサムが死亡してしまうというプレイヤーにとって非常に不利な条件を設けられています。プレイヤーに不利な条件を課すことよって人殺しをすることを避けさせています。メタルギアソリッドシリーズでは殺さないことで有利な条件や高評価を与えていたのですが、今作では人殺しをしないようにある意味強制しています。人を殺すゲームが社会的にいろいろ問題にされることへの対応なのかもしれませんがとにかく徹底しています。人によってはこの説教臭さを嫌がる人もいるかもしれませんが、私は戦闘をメインとしないゲーム(従来のゲームのようなボス戦もあるので完全に戦闘がないゲームではありません)を作るという新たな挑戦として好意的に受けて止めています。

DEATH STRANDIGNのアニメーション

DEATH STRANDINGの主人公サムのアニメーション(モーション)はものすごく沢山用意されており、それをものすごく上手く繋いでいます。しかもその殆どが移動のためのアニメーションです。これほど移動するアニメーションにコストをかけたゲームがかつてあったでしょうか。

たとえばモンスターハンターアイスボーンでは モンスターハンターワールドの時から武器ごとにも様々なアクションのアニメーションが多数追加されました。そして敵モンスターも多数追加されそのモンスターごとに多彩なアニメーションが実装されています。それは武器ごとの多彩なアクションや多彩なモンスターとの戦いといった戦闘がメインのゲームだからです。戦闘メインのゲームなので戦闘に関わることに多くのリソースを割いているのです。当然といえば当然です。

移動のアニメーションというのは他のゲームでは「歩き」と「走り」の2種類しか用意していないものものがほとんどでしょう。しかし、このDEATH STRANDINGではものすごいコストをかけているのです。モーション遷移はものすごく複雑になっているのではないでしょうか。Unreal Engine等で再現するのは相当難しいと思います。というより再現しようと思う人もいないでしょう。大変すぎる割に他のゲームではここまでやる必要がないからです。しかも移動のアニメーションの作業は非常に地味で大変なものです。メインの担当者は頭がおかしくなりかけたのではないでしょうか(笑)。ちょっと傾いた歩きとかちょっと躓いた歩き、ちょっと方向を変える動き、ちょっと…なんてのを延々とやったわけですから。

「歩き」と「走り」という人間の基本動作にここまでこだわったものは他にはありません。DEATH STRANDINGはビデオゲームにおけるというよりインタラクティブなデジタル表現における「歩き」と「走り」に革命をもたらせました。

褒めてばかりいるのもアレなので

このゲームの評価は冒頭を見ての通り星4つです。5ではないです。いきなり5をつけてしまうとあとの記事が書きづらいというのもありますが、もっとここがこうなっていればという部分ももちろんあります。

それは乗り物についてです。私はグランツーリスモが大好きで乗物(車)大好きなのですが、このゲームに出てくる乗り物(トラック、バイク)は乗っていて面白くありません。スピードが遅くとても安定していて決して横転しません。さすがにこのゲームにグランツーリスモのようなそれ専門のゲームの挙動は求めません。GTA5というおそらく強く意識したゲームでは車の種類によって足回りの違いをしっかり感じることができました。アメ車のふわふわしたやわらかい感じやスポーツカーのカチッとした硬さを感じて走ることができました。それにGTA5では飛行機やヘリなど空を飛ぶものもありましたがDEATH STRANDINGでは空は飛べません。もしヘリで配送となると別ゲームになっていしまうおそれもあるのでそこは仕方ない部分もあります。しかし、車の挙動についてはもうすこしがんばっていただきたかったです。このゲームは舗装された国道を通してそこを乗り物で大量の荷物を何分以内に届けるというのがミッションとしてあるのですが、車やバイクのスピードが遅く挙動も面白うないので最速で届けたいというタイムアタックの要素が台無しになってしまっています。国道をトラックで遠くまでチンタラ走っているのは非常にストレスです。ジップラインは非常に気持ちいいのに大好きな乗り物でこんなストレスを感じないといけないなんて。とはいえトラックはそんなにスピードは出なくても納得がいく部分はあるのですがバイクの場合はスピードをだせないのは納得いきません。なぜならバイクは少量の荷物しか載せられない単なるトラックの劣化版という意味しかもたないからです。乗り物の用途自体にも個性を与えてほしかったです。このバイクはデザインも格好良かっただけに非常にもったいないです。スピードが出せない理由としては国道はガードレールがなくて高いところをクネクネと通っているところが多いので速すぎると落ちてしまう人が多いのではないかという配慮のためだと推測しますが、そういう余計な心遣いはしてはいけないものでしょう。この部分だけは日本のゲーム的なものが悪い面で出てしまったような気がしてしまいます。

結論と今後のコジプロに望むこと

結論としてはDEATH STRANDINGは非常に面白かったですし、ものすごいプレッシャーの中これだけのゲームを世に届けることが出来たのは驚異的です。ゲームそのものだけでなく様々ないきさつまでも考慮にいれるとますますその思いは強まります。世界中の人々の期待に見事に応えたと思います。

メタルギアソリッドシリーズ以外の新作を作ることが出来たのは独立したからこそなのでこれからは続編ものではなくすべてオリジナル作品を期待します。おそらくアイディアには事欠かないタイプだと思うのでその方向で突き進んでいただきたいです。

個人的にはスナッチャーやポリスノーツのようなアドベンチャーゲームをまた作っていただけたら嬉しいです。今のアドベンチャーゲームはDetroit Become HumanやHeavy Rain、Beyond: Two Soulsといった新時代のアドベンチャーゲームが出てきているので小島監督が得意な映画的演出やゲームにしか出来ない演出を十二分に発揮できる舞台だと思うのでぜひそっち方面の新作を期待しています。

DEATH STRANDING
総合評価
( 4 )
メリット
  • お使いという退屈な要素をメインコンテンツとして成立させた野心作
  • ネットゲーム恐怖症の人でも楽しめる「他人とゆるく繋がるネットワーク要素」
  • コロナ禍以降、いろいろと考えさせられる世界観
デメリット
  • 乗り物の挙動が良くない(面白くない)
  • 敵から逃げまわることが多いのでストレスが溜まる

今から買うならDIRECTOR’S CUT1択です。

デス・ストランディング タイトル

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次